2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『ゆっくり生きる。』

「おれはとうとう石屋になってしまった ほかにはどうするアテもなかったのだ」つげ義春『無能の人』の出だしである。スローライフもしくはLOHASと聞くと、なぜかこの作品が思い浮かぶ。作家の川上弘美は、自身のエッセイで「無能の人」の主人公について『何…

『フジイ フランソワ展』

「器物百年を経て 化して精霊を得てより 人の心を誑す」御伽草紙の一文を借りて、フジイフランソワは今展示の挨拶をはじめる。フジイの作品は大和絵や水墨画をベースに独自のグロテスクさをまさに内包という形で見せる。例えば「桃太郎」と題された作品は、…

YEBESSAN-〈分身の術〉展

ドストエフスキーの小説「二重人格」の主人公ゴリャートキンは小心で引っこみ思案、うだつのあがらない典型的な小役人。しかし成功者願望の強い彼は、現実とのギャップに苦しみ、とうとう自分の分身を生んでしまう。 分身は、自分と正反対の性格でゴリャート…

『極私的展覧会五撰』

年始ということで、昨年の印象に残った展覧会を選んでみた。 昨年はアートイベントが多彩だったにもかかわらず、ほとんど参加できないという体たらく。 なんにしても時間とお金がたりないということで。では。1.直島スタンダード2(香川県直島および直島…