河口龍夫

−見えないものと見えるもの−

暗闇を経験した事がある。最悪の起床を迎えたその日、怒号と恐慌の朝をなんとか凌いだ後、知り合いの安否を確かめる為に10キロ程離れた隣の市まで自転車を走らせた。残骸の隙間をとおり抜け、着いた場所は果たして残骸になっていた。驚かなかった。おそらく…